不意打ち ≒ 本音を映す

13/25
前へ
/575ページ
次へ
「もういい、木戸。 寝てないなら、さっさと帰れ」 「はいはーい。  じゃあ、おやすみなさい。真歩さん、またねぇ」 木戸は飄々と答えると、真歩ににこやかな笑顔で手を振ってから研究室を出て行った。 ドアがパタンと閉まり、一気に研究室が静まり返る。 嵐でも連れ去っていったかのようだ。 「‥‥‥‥それで?お前はどうした? 分からない問題でもあったのか?」 「……あ、えっと」 ふと向井の話し方が変わったと思った。 口調がどことなく静かなせいで、優しいような気がしてしまう。 「‥‥昨日、談話室で鍵を拾ったんですけど‥‥」 真歩は向井に拾った鍵を見せた。 「あ、ああ。なんだ神崎が持っていたのか。  家の鍵だから、無くて困ってたんだ」 「家の鍵? じゃあ、昨日は?」 家に入れなかったのだとしたら、申し訳なさ過ぎる。
/575ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3264人が本棚に入れています
本棚に追加