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真歩は目で追ってしまう。
向かった先には綺麗な女性が立っていた。
向井晴人。
あ、そうか、向井の名前は晴人だったと気付いて、途端に胸がキュっと締め上げられた。
向井のことを名前で呼ぶ女性。
真歩は向井と向き合っているその女性を見てしまっていた。
向井と話しながら、笑っている。
その笑い方はとても上品で、とても真似できない。
向井と同じ年くらいだろうか。
白いブラウスにカーディガン。
膝丈のスカートから、スラっと足が伸びている。
大人っぽくて、知的な印象で、向井と並ぶとお似合いだった。
向井がその女性に手を差し出すと、女性は手を出した。
何かを渡している。
渡しているものを見て、ザラっと心が擦られる。
それは、真歩が談話室で拾った鍵。
黒白チェック柄の向井の自宅のスペアキーだった。
向井、彼女いるんだ‥‥。
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