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数学図書館の談話室の窓からは光が漏れていた。
向井は談話室に居るだろうか‥‥。
ビクビクしながら、窓を開ける。
「……遅い」
すぐに向井の声が聞こえた。
カーテンを開けて、中に入る。
向井とすぐに目があって、ジロっと睨まれた。
う………。
やっぱり怒ってる………。
「もう今日は来ないと思ってた」
向井の口調はキツくて、かなり機嫌が悪い。
向井が座っている席に近付いて、
「こんなに遅くなるとは思わなくて‥‥、これはお詫びに‥‥」と、テーブルの上に来る途中で買ってきたホールケーキを置く。
向井はそれを見た後、真歩をじっと見上げた。
怖い目に身体はビクビクするくせに、視線が反らせない。
「‥‥‥‥今日は居残り」
「え?」
「遅刻した分、残れ」
「そ、‥‥‥そ、そしたら帰れない」
「ソファで寝ればいい」
「‥‥‥‥」
拒否を受け付けなさそうな向井の視線。
心臓が騒ぎ始めていた。
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