心の壁=弱さ+逃避

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「‥‥それなら、このサイズじゃ小さすぎる」 「そ、それより大きいのが無かったの!」 真歩は慌てて言い訳をした。 「………あっそ」 向井がフッと笑ってくれたので、何故かほっとしていた。 「………ケーキ食べる?」 食で誤魔化そうというわけでもないけれど、そう提案したら、向井がぶっきらぼうながらも「ああ」と同意してくれた。 真歩は箱からケーキを取り出し、一緒に購入してきた紙皿とフォークを用意する。 向井は立ち上がると、談話室にある自動販売機で缶コーヒーを買い出した。 向井が背を向けているのを確認して、時計をチラっと見ると、23時29分。 あと約30分……。 その後も真歩はチラチラと時計を見てしまっていた。 ケーキを食べるのは久しぶりだと話し始めたのが23時33分。 ケーキを食べ始めたのが23時40分。 2人で食べるには大きすぎると文句を言われたのが23時45分。 ケーキを食べ終えたのが23時55分。 片付け終わったのが23時57分。 今すぐこの談話室を出れば、まだギリギリ間に合う。 だけど、向井は帰る気配がない。 自分だって、椅子から立ち上がろうとしない。
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