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向井が腕の力を強める。
余計に、向井の体温と心臓の音がシャツを通して伝わってくる。
やっぱりこの腕に抱きしめて欲しかった。
そう実感してしまった。
いつも身体の距離が近い2人。
暗黙の了解で、何故か抱きしめ合っている2人。
でも恋人ではない。
向井の気持ちはよく分からない。
からかわれてる?
もしかして、好かれてる?
自分の気持ちだって、よく分からない。
どういうつもりなの?
もしかして、好きなの?
向井が抱き締めた腕を引き上げたから、身体が椅子から立ち上がっていた。
そしてそのまま、テーブルの上に押し倒された。
思わず向井を見上げる。
片付けたケーキの箱と紙皿から、甘い香りがする。
向井がいつもよりも緩んだ口元で、ケーキを食べていた表情を思い出す。
それと同じ顔をした向井が真歩を見下ろしていた。
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