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どうしよう‥‥‥。
本当にこのまま‥‥‥。
向井の唇が真歩の顔に近づいてきて、ギュッと目を閉じた。
よく分からない不安が押し寄せてくる。
このまま抱かれることを身体は拒否しないのに、気持ちが完全にはついていかない。
このまま流されていいの‥‥‥?
流されたいの‥‥‥‥?
そのままキツく目を閉じていると、向井の唇が額に触れて、すぐに離れた。
真歩は恐る恐る目を開ける。
目が合った向井はフッと笑って、真歩の腕を引っ張り、テーブルから起こした。
「あ、あの‥‥‥」
「勉強するか」
向井は何事もなかったような顔をして、椅子に座り直し、テーブルに置いてあった本を開いた。
心にポツンと小さな穴が開いたような空虚感。
残念なような‥‥‥‥。
安心したような‥‥‥‥。
拍子抜けしてしまい、真歩は身体がすぐに動かなくて立ち尽くす。
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