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成績を落としたせいで向井に勉強を教えてもらっている。
毎日ダンスに通っているせいで、夜遅くからにしてもらっている。
しかも毎日自宅まで送ってもらっていて、その時間は午前過ぎ。
全て向井から強制的にさせられていた結果とはいえ、向井の立場に置き換えてみれば、かなり自分勝手な話かもしれない。
公園の景色から、また向井に視線を戻した。
相変わらずコーヒーを飲みながら、公園の奥を眺めている向井の横顔を眺める。
細いスラっ長い顎のライン。切れ長で細い目。通った鼻筋。薄い唇。
無表情な向井の横顔は確かに冷たさそうで誰も寄せ付けない雰囲気があるけれど、この感じがクールだと騒ぐ女生徒の気持ちが、今では分からなくない。
でも、それはこの雰囲気が良いというわけじゃなくて、今まで見えていなかった向井の内面を知ったからこその感情だと思う。
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