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お守り?
だけど、それは神社で売っているようなお守りじゃなくて、紐でいくつかのパワーストンを編み込んだお洒落ものだった。
「これは?」
「ケーキのお礼」
向井がそっけない返事をしたけれど、自分のためにお守りを用意してくれたんだと思うと胸が温かくなる。
「……ありがとう」
素直にお礼が言えた。
お礼を言った後、またそのお守りを眺める。
透き通った薄水色の石が光に照らされてキラキラする。
この石がなんだか知っている。
『アクアマリン』。
夢を実現するという願いが込められた石。
そして、自分の誕生石。
「……なんで、この石…」
「努力家のお前に、お守りなんて必要ないかもしれない」
真歩が尋ねた質問を遮って、向井はこっちを見た。
「え?」
「俺は、お前が夢を掴める1人だと思ってる」
「…………っ」
向井の言葉に一気に涙が出そうになった。
『そんなんで夢を掴めると思ってるのか?
夢を掴めるのは、ほんの一握りの奴らだけだ』
大学1年の夏、向井が真歩に冷やかに放った言葉が頭の中に蘇った。
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