敵 : 味方 = NO? : YES?

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由依があの男が人気があると言っていたのは信じられなかったけれど、確かに大学構内で女生徒によく声をかけられていた。 今まで、視界に入れることすら避けていただけに、そんな光景を見ることなんてなかったのだ。 向井がクールでカッコいいと騒いでいるのは理学部の生徒ではなかった。 真歩が通う大学は理学部を含めて12学部ある。 理系の学部ではなくても、数学が必修や選択科目になることもある。 向井が理系以外の生徒に数学の講義をすることもあるのだろう。 向井の講義が終わって、教室を出ると、3人組の女生徒が向井の待ち伏せをしていた。 「向井先生、そろそろ出てくるかな?」 「なんて話掛ける?」 「こないだの授業で分からないところがあるとか?」 まだ少し初々しさが残る彼女たち。 こないだ待ち伏せしていた女生徒も同い年くらいに見えた。 おそらくみんな大学1年生だろう。 専門的な選択科目が増えるのは2年生から。 3年にもなると、より専門性が高くなる。 もともと理学部に女生徒は少ないので、向井をもてはやせるほど女がいない。 いや、もてはやすことすらしないけど。
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