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「うーん。やっぱり、解けない……」
夜の図書館で問題を解いていた真歩はまた頭を抱えていた。
「どこが解らない?これか。それはな……」
向井は真歩のノートを覗き込み、問題の解き方を説明する。
真歩はそんな向井を得体の知れないものを見るような目で見た。
昼間の大学構内の向井はこんなに甲斐甲斐しく、数学を教えたりしない。
教師のくせに、生徒の相談を面倒くさそうに冷ややかに返す。
でも、今、目の前にいる向井はどうだ?
まったくの別人じゃないか?
廊下ですれ違う向井は実はこの男ではないのかもしれないと思ってしまうくらいだ。
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