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「なんか変」
向井に説明してもらい、問題の正解を導けた真歩は呟いてしまっていた。
「なにが?」
そう、こうやって、必ず話にのってくる。
「思っていたのと全然違う」
「は? だから何が?」
「そうやって、話にのってくるところ。
私の言うことなんて聞く耳持たずに、無視すると思ってた」
「2人きりでいて、無視する理由なんてない」
「そうだけど、あまり喋らなそうだから」
「必要なら話すだろう、普通」
「そうだけど‥‥‥」
テンポの良い言葉のキャッチボール。
講義中の向井のイメージから遠ざかる。
普段からこんな様子だったなら、生徒はもっと話しかけやすいだろう。
自分だって向井の冷やかな視線に毎回ビクビクしなくても済みそうだったのに……。
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