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理系の大学に進学する女性は確かに少ない。
真歩の所属する理学部も女性は全体の1割程度。
教室は男性ばかりで、選択科目によっては、自分1人が女性であることだってあった。
そんな理学部にわざわざ入学するからには、それなりの目的があって入学する人が多い。
それなのに、今さらダンサーを目指して夢を追っかけることを変に思われることは自分でも承知していた。
だから、少人数にしか自分の夢を話していないのだ。
黙り込んだまま、真歩の返答を待つ向井の視線にビクビクする。
話を逸らそうか、適当なことを言おうか迷っていると、向井は再び、「なんで?」と聞いてきたので、真歩は思わず背筋を張った。
この特別授業を提案された時は夢について話すことを逃れられたのに、今日の向井は何が何でも引き出すつもりらしい。
真歩をじっと見つめる向井の目に身体が硬直する。
正しい答えはたったひとつ。
数学を解くのと同じように、自分が嘘を言ったとしても、また別の方法を試して、正しい答えを導こうとする予感がした。
真歩はしぶしぶ口を開く。
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