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向井は表情を変えず、黙ったまま真歩を見ていた。
その読み取れない表情と数秒足らずの沈黙が何を表すのか分からなくて、真歩は堪らず、声を上げた。
「笑いたければ、笑えばいいわよっ!」
この男はどうしようもない女だと思うのだろうけど、そんなの別にいい。
自分さえ前を向いていれば、大丈夫なんだから!
向井の心無い矢をいつ放たれてもいいように、真歩は心の中に保身のためのバリアを張る。
「‥‥‥‥笑わない」
でも向井は矢を放たずに援軍を送り込んできた。
「お前が一生懸命なのはちゃんと知ってる」
「‥‥‥‥‥え?」
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