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「どう?覚えた?」
一通り踊り終えた森が真歩に振り返る。
さすがに森が見せた見本すべては覚えきれなかった。
「ごめんなさい。全部は‥‥‥」
「うん、大丈夫だよ。じゃあ、最初から一緒にやってみよう」
「はい」
森の隣に立ち、真歩は鏡に映る森の動きを真似る。
「6カウントの腕だけど、もっと高く遠くに伸ばして」
森は真歩の手首を取り、理想の高さと角度を教える。
真歩は懸命にその角度と位置を繰り返した。
「そだね。あと、腰を下げる位置はもっと下。胸はまっすぐ‥‥‥そうそう」
森に体勢を直されて、真歩はその体勢を必死で保つ。
この体勢をダンスをしながら一瞬で作るのはなかなかしんどそう。
もっと基礎体力を鍛えなきゃ。
真歩は森に教わったステップを何度か繰り返し、森に披露してみせた。
「うん、うん。そう、そう。
以前よりも飲み込みが早くなったね!」
「本当ですか? ありがとうございます!」
森に褒められて、自然と頬が緩んでしまう。
ダンスのこととなると、至って素直になれるから不思議だ。
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