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「おい、ニヤけてる」
「え?」
夜の数学図書館。
テーブルの上の問題集から顔を上げ、斜向かいを見た真歩はジロリと向井に睨まれた。
慌ててその視線から逃れようと、両手で緩んだ頬を隠す。
昼間のダンスで森に褒められたことを思い出して、にやけていたのがバレていたらしい。
隠した手のひらの中で口を動かして、頬を緊張させる。
「かれこれ2時間、ずっと緩みっぱなし。気持ち悪い」
「わ、悪かったわね!」
真歩はムスっと拗ねて、向井を軽く睨み返した。
もう。
せっかく夢に近付けた気がして気分が上がっていたのに下げるなんて最低。
真歩は向井をもう一度軽く睨んだ後、目を逸らして問題に集中することにした。
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