心の距離 < 身体の距離

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いつしか向井の右腕が真歩の腹部に巻きついていて、腰の辺りをなぞり始めた。 「………っ!」 身体がピクンと反応してしまう。 何故か身体が変に疼いてきて、咄嗟に太ももをギュッと閉じた。 2人の身体は密着しているせいで、向井にも自分の動きがバレバレではないかと不安になる。 手を押さえられている時よりも、腰に手がある方が艶かしさを感じてしまう。 この状況はマズイ。 危う過ぎる……。 「は、は、離して……」 真歩は最大限の声を出したが、その声は思いのほか小さかった。 腰に巻きついた向井の腕を右手で除けようとすると、すぐにその右手は向井にまた繋がれてしまい、ノートの上に押さえつけられてしまった。 「全部覚えたらな」 向井はまた数式を囁き始め、真歩に数式を書かせ始める。 真歩が鉛筆を持ち、数式を書き始めると、また向井の右手が腰に戻る。 向井の大きな温かい手のひらが腰回りに触れると、掘り当てられたくない快感を呼び起こしそうでクラクラする。 こんな自分、なにかがおかしい。 真歩は向井の呪文で魔法にかけられたまま、抵抗すらできなくなっていた。
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