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向井が全ての数式を読み上げ終わり、真歩を解放した瞬間、真歩は数分もしないうちに数学図書館から逃げ出していた。
身体は火照っていて、意識もふわふわしていた。
あのまま向井の側にいるのは気まずくて。
時計の針も23時30分の授業の終わりを示していたのをいいことに、無我夢中で飛び出した。
大学の裏通用門から真歩のアパートに向かって歩き出す。
この時間の空気は頭を落ち着かせるにちょうど良い冷え込みで、真歩はその寒さに身体の熱さを放出しようと試みた。
向井に触られた部位は別に恋人同士のみが触れるような感部ではない。
手や腰周りだけ。
ダンスの最中に男性と組んで絡む振り付けがあれば、男性と手を繋ぐし、腕も掴まれるし、腰も支えられる。
森にもレッスンの際はよく触れられる部位だった。
だから、向井に触られたことを意識することなんてないはずなのに、なんであんなに反応してしまったんだろう。
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