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「神崎っ!!」
誰かが大きな声で自分の名を呼んだ。
こんな大きな音量では聞いたことない声だけど、聞き覚えのある声だとすぐに分かる。
目を開けると、向井が痴漢に殴りかかろうとしているところだった。
痴漢は血相を変え、真歩から離れ、逃げ去っていく。
「ま、待て!」
いや!
行かないで!
痴漢を追いかけようと真歩に背を向けた向井の服をぎゅっと掴んでいた。
「行かないで!」
震える手でも、向井を引き留めるだけの力が出たことに自分でも驚いた。
1人になるのが怖くて、必死だった。
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