心の距離 < 身体の距離

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向井は真歩の震える手を握ると、そのまま自分の胸に引き寄せた。 真歩の身体は正面から向井の腕の中に納められてしまい、2人の身体は図書館の時よりも密着する。 恐怖に震えていた身体が安心感に包まれていくのを感じた。 「すぐに助けられなくて悪かった」 向井が謝ったので、真歩は訳が分からず顔をあげた。 助けてもらえただけで十分なのに、何故謝る必要があるんだろう? すぐってなんで? 「俺が送るって言ったのにお前が断るから悪い」 今度は叱られた。 訳がわからない。 「なんで私に謝って、それでいてなんで叱るのよ?」 「うるさい。 黙ってろ」
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