第1章

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相良さんの部屋は俺の部屋と同じ造りなんだけど、電気の笠とか敷いてあるラグがお洒落なせいか凄く良い雰囲気だった。 「今すぐにお茶入れるから適当に座ってて下さい」 キッチンの方に消えてく相良さんを見ながら言われるがままに部屋の隅に正座する。 ミニソファがあるけど、初対面で図々しく思われたくないからラグの上にすら乗らないようにした。 数分後、トレーの上にティーセットを乗せた相良さんが笑いながら再登場。 「ちょ、そんな隅っこで小さく正座て。ソファに座ってよ」 「あ、いや、なんか緊張しちゃって」 「あはは、それじゃあお茶でも飲みながら自己紹介からってのはどうでしょう」 「はい、えっと・・・あ、俺、柳川太一っていいます。この春から社会人で22才です。独り暮らしは初めての世間知らずなんで色々教えて下さい」 自己紹介の最後に思い切り頭を下げる。 それはもう土下座に近い状態で下げる。 「ぷ、ちょ、頭下げすぎ。それもうほぼ土下座。あはははは」 相良さんがあんまり笑うもんだから俺も頭をかきながら笑ってしまう。 ひとしきり笑った後は相良さんの番だ。 「あー久々にこんな笑った。じゃ、俺の番だね。俺、相良薫、老けて見えるかもだけど、これでも柳川さん・・・太一って呼んでも良いかな?」 相良さんの問いにうんうんと頭で返事をする。 「ありがとう。これでも太一と同い年。高卒だから社会人5年目だけどね」 「ぇぇええっ!?同い年!?」 「はは、驚き過ぎだっつーの。だから太一も俺の事は薫って呼んでよ。ってことでよろしく太一」 相良さん改め薫はにっこり笑って右手を差し出してきた。 その手を握り返しながら俺はばあちゃん、を思い出す。 ばぁちゃん、笑顔ってほんとにいいね。
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