最終章

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「あの音は、首を吊った音だった…」 何かを引きずる音も、椅子が倒れる音も、そのあと響く軋む音も。 何回も何回も殺され、弄ばれ、首を吊られ。 「もうその事忘れてたわ。 何かあったんですか?」 「あっ、いえ…ちょっと」 言葉を濁して僕は大家さんに挨拶をして部屋に戻った。 音成さんは、ずっと犯人を探していたんだ。 自分の人生を奪った犯人を。 「…あれ?」 でも、なんで僕のところに来たんだ? 大家さんが忘れるくらい古い事件だ。僕はその事を今日初めて知った。 あの時、何で引っ越しの挨拶に来たんだ? その事を考えていたとき、スマホが着信を告げた。 着信を見れば、大学で声を掛けて来た友人からだった。 電話に出ると、慌てた声が耳に入る。 [もしもしッ!]
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