住良木の 『昼の仕事』

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住良木の 『昼の仕事』

「ターゲットは?」 「前方20メートル、赤い帽子の女です」 「了解、連絡を待て」 住良木は、赤い帽子の女を尾行した。 この女は、真奈美の弟の嫁、菖蒲である。 弟の祐馬は、今、出張で不在だ。 この企業のトップの身柄は自由にしているのだが、 万が一のこともあり、常に影からの護衛に勤めている。 「ターゲット、喫茶店に入った」 「了解。店内にP1、P2配置中、待機願います」 「了解」 住良木は、近くの喫煙所で、一服した。 今までの統計によると、30分は出てこないであろう。 「ターゲットの接触人物確定。後輩の風森篤子です」 「了解した。その娘は信用できる。少し緊張を解け」 「了解!」 住良木は、今のチームの実行部隊のリーダーである。 できれば、専任させてもらいたいところだが、 自衛隊、警察官からの『天下り』要員に、 使えるものが、なかなかいなかったのだ。 仕方なく、様々な任務をこなし、メンバーに教育を しているのである。 「ターゲット移動、一傘バスに乗るようです」 「たぶん帰宅だ。フォーメーションAを張れ」 「了解」 住良木は、ターゲットの菖蒲が、 家に入るところまで指示し、数名のエージェントを残して 任務終了を告げた。
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