気になる隣人

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気になる隣人

「カチッ カシャン!」 金属質の音がする 布ズレの音もする 部屋を移動したようだ シャワーを浴びているのか、水の音が聞こえる 水音か消え、タオルで身体を拭いている音がする 服を着替える音がする 「カチャ」 カバンの取っ手を持ったようだ。 「カチャ、ジャラ コン カシャ キー バタン!  カチャッ」 ドアの鍵を開け、チェーンロックを外し、ドアを開け、 ドアを閉め、ドアをロックした音がした (さて、仕事に行こうか) オレは、スーツの上着を着て、カバンを持って、 玄関のドアを開けた 「ああ!住良木さん!昨日は結構なものを、  ありがとうございました!」 「ああ!八幡さん、いえ、大したものでは。  これからご出勤ですか?」 「はいそうです。そこまでご一緒にどうでしょう?」 「はい、いきましょう」 オレは素早くドアのロックをして、住良木に追いついた。 「住良木さんは、かなりいい身体をしてらっしゃいますが、  なにか武術などを?」 「ええ、ボクシングを基本に、いろいろやりましたよ」 「へー、そうなんですか。ご職業は警察官、  とかでしょうか」 「はい、そのような仕事についていますよ」 「だとしたら、このマンションは安泰ですよ。  住良木さんのような方がいらっしゃったら、  悪いことを考える奴もいないでしょう!」 「そうあってもらいたいですね」 「あ、私は駅の方に向かいますので、それでは」 「はい、また」 オレは、昨日、隣に越してきた住良木さんに あこがれてしまった。 ハードボイルドな端正な顔立ちと、 すばらしく鍛え上げられた肉体。 全く隙のないような身のこなし。 ハードボイルド小説から出てきたような、面持だ。 昔は、よく読んだものだ。 今では、廃れているようだが。 オレは、電車に乗った。 いつもの時間だ。 毎日繰り返しているだけの、退屈な時間が流れている。
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