第3章 人間になり……ました。

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光を纏うワニ王子に心臓が跳ねてるのがわかる。 「僕ら、今、全裸なんだけ、ど?」 「あぁ、そうか、よし、とりあえず服を着よう」 けっこう恥ずかしいんだ。 元レッサーパンダとしては体毛で全身を覆われていたせいか、人間になって一部分、頭とか股間とかしか毛が生えていないっていうのは、心もとないというか恥ずかしいというか。 その格好でさっきからランドの中をうろうろしておいていうのもなんだけどさ。 「服、着ないといけないんだな」 ワニ王子にしてみると違和感があるんだろうか。 鱗が皮膚の代わりだとしたら、まぁ、丸裸で寝そべってるんだもんな。 何かで身体を覆うのは変な感じがするのかもしれない。 不思議だ。 自分が人間になって、器用に五本の指を使って服を着ているなんて、すごく変。 今日の昼間まではレッサーパンダとして木の上でゴロ寝をしていたのに。 こんなにたくさん動く指、でもその力はレッサーパンダの頃に比べると弱い。 ワニ王子も不思議そうに自分の手を眺めてる。 ワニは強靭で大きくてどっしりしている。 それに比べて人間は弱い。器用だし、知恵もあるけれど、決定的に弱い。 そんな生き物に自分の気持ち関係なしに変身させられてしまったんだ。 「不思議だな。ワニだった頃と違って、この服、皮膚が二枚重ねにでもなっているような気がする」 「あー……そうかもね」 ワニ王子の褐色の肌が服に隠れてしまうのは少しだけ惜しい気がした。 手を開いて握って、また開いて、その動きをじっと観察する伏せた眼差しがすごく綺麗だった。 この角度からじゃほとんど黒に見えるんだな。 身長はほぼ同じくらい。 でもどちらかといえば筋肉質なレッサーパンダと違って、ワニ王子は細身でスレンダーな感じがする。華奢なんじゃなくてしなやかな身体って感じ。 「違和感、すごいよね……」 綺麗だなとワニの時だけじゃなく、今も充分見惚れてしまう。 「あぁ、すごい」 「や、だよね」 一つ一つのしぐさが見入るほどで、知識でしか知らない王子様がイコールで、このワニ王子に繋がっていく。
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