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それから何年も経った。恵太の髪の毛には何本もの白髪が生えていた。
墓に花を供え、手を合わせた。そして足早に去ろうとしたときだった。
「恵太さん、ですよね。お久しぶりです」
「あなたは、あの時の」
爽やかな笑みを浮かべて立つ男はあの頃と変わらなくて、ひどく懐かしかった。
「お隣さん、ですよ。あなたを探るために彼女がつけた」
そう言って二人は墓を見た。墓に刻まれた由璃の字は優しく二人を見守っているようであった。
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