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「……うん。だといいな……」
「ん」
私に向かって差し出された手。
私は、そっと望くんの掌に自分の手を重ねる。
この手がなかったら、私は今も前を向いていないだろう。
「望くん………ありがとう」
「どういたしまして」
ギュッと繋いだ手から、伝わる体温。
この人を好きになって、よかった。
………そう、確かに感じた。
二人で来た道を歩く。
入口を出たところで、ビュウーーと強い風がふいた。
私は、後ろを振り向く。
「亜依?どうした?」
「……ううん、なんでもない」
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