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赤ん坊の泣き声がする。
まるで、俺を断罪するかのように――。
その日。
夜、眠ろうとして
隣から赤ん坊の泣き声が
聞こえることに気が付いた。
その声は火がついたように激しい。
……隣、家族でも引っ越してきたのかな。
それにしても煩いな。
幾ら赤ん坊は泣くのが仕事だっていっても、
もう真夜中だぞ。
ちっとは静かにさせる努力をしろよ。
舌打ちすると俺は布団をかぶり、
耳を塞いで眠りについた。
翌日、仕事が終わって帰ってくると、
隣の部屋から女が出てきた。
「こんばんは」
「……」
俯きがちで、陰気な女は俺を一瞥すると、
そそくさとその場をあとにした。
……なにあれ。
感じわるっ。
部屋に入り、晩飯の準備をしていると、
また隣から赤ん坊の泣き声が響いてきた。
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