第1章

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ようやく町田に到着して、僕は電車から飛び出た。 香水の刺激臭を嗅がないようずっと息を止めてた僕は、ハァハァと荒くなった呼吸を整えながら改札を出た。 はぁー…. またひとつ大きなため息。 あのギャル達のお陰で何とも不愉快な気分だ。 こういう時は家に帰ってお気に入りのアイドルA○BのDVD見るに限る。 僕は早足で駅を抜ける。 僕の住む家は駅から徒歩10分。 ワンルームで家賃3万5千円という破格に釣られて、ろくに内見もせず契約した。 蓋を開けてみると、築35年のボロアパートだった。 古びた造りの2階立てコーポで、外観はとても見窄らしい。 外壁は叩いたら割れてしまうのではないかというくらい劣化していた。 中は意外と綺麗だったが、靴入れは壊れかけていたし、トイレや浴槽は使用感がかなりあり、とても綺麗とは言えなかった。 住み始めた当初は嫌だったが、1年も経つと慣れたもので、今は一切気にならなくなっていた。 近所の公園を通り抜け、アパートに到着した。 僕がいつものように部屋の鍵を開けようとすると、隣の部屋から何やら物音が聞こえた。 あれ?? 隣って確かこの前引っ越して、今は空いてなかったっけ? いつの間に引っ越してきたのかな? そんな事を思いながらも、近所付き合いは一切しない僕は、それ以上は特に気にせず鍵を開けて部屋に入ろうとした。 ガチャっ すると隣のドアが突然開いた。
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