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その日の夜、アパートに帰宅すると、外で何やらウロチョロしている人影が見えた。
近づいてみるとその人影の正体は"鈴木美耶"だった。
僕は今日1日彼女の事を考えてたので、彼女の姿を見ると心が揺れた。
僕は思い切って声をかけてみようと思い、さらに近づいてみると、彼女は何やら困っている様子だった。
「こんばんは。何かあったんですか?」
「あ!!!誠治さん!こんばんはっ!」
僕が声をかけると、彼女はすぐに僕に気づき、ペコっと挨拶をする。
「大変なんですよ~。」
「どうしたんですか?」
「実は…家の鍵を落としてしまって…家に入れないんです。」
"ショボ~ン"という効果音が入りそうなくらいあからさまに落ち込んでいた。
「このままじゃ私、野宿になっちゃいますよぅ…。」
今度は涙目になり、今にも泣きそうな顔になる。
ていうか…
「大家さんに話して鍵開けてもらえばいいじゃないですか。」
「え!??あ…そっか…。」
僕の言葉で、彼女は我に返ったみたいだ。
「やだっ…!そんな事も思いつかないんて。」
彼女の顔が真っ赤に染まる。
「取り乱して凄く恥ずかしい…///」
そして彼女は、真っ赤な顔を手で覆うようにして隠した。可愛いな…
じゃなくて!大家大家。
すぐに僕は大家の所へ行き、事情を説明して、部屋の鍵を開けてもらった。
「引っ越してそうそう本当にすみません…。
ありがとうございます!」
彼女は大家に何度も頭を下げた。
「誠治さんも本当にありがとうございます。」
「いやいや。僕は何もしてないし。」
「そんな事ないです~!すごく助かりましたよ!」
彼女は僕の手を両手で握った。
僕は彼女の何気ないその行動にドキッとした。
「あ!ちょっとここで待っててください!」
そういい残して彼女は自分の部屋へ入って行ってしまった。
僕は訳も分からずそこに立っていた。
少しすると、彼女が駆け足で戻ってきた。
「これ!昨日作り過ぎちゃって。
さっきのお礼によかったら食べて下さい♪」
「お口に合うかわかりませんが」と付けたし、僕にタッパーを渡した。
中を開けると、里芋の含め煮が入っていた。
…シブい
「ありがとうございます。本当に頂いちゃっていいんですか?」
「はい!こんな物でよければ!ではまた~♪」
彼女は自分の部屋へ戻った。
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