第1章

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その日の夜、アパートに帰宅すると、外で何やらウロチョロしている人影が見えた。 近づいてみるとその人影の正体は"鈴木美耶"だった。 僕は今日1日彼女の事を考えてたので、彼女の姿を見ると心が揺れた。 僕は思い切って声をかけてみようと思い、さらに近づいてみると、彼女は何やら困っている様子だった。 「こんばんは。何かあったんですか?」 「あ!!!誠治さん!こんばんはっ!」 僕が声をかけると、彼女はすぐに僕に気づき、ペコっと挨拶をする。 「大変なんですよ~。」 「どうしたんですか?」 「実は…家の鍵を落としてしまって…家に入れないんです。」 "ショボ~ン"という効果音が入りそうなくらいあからさまに落ち込んでいた。 「このままじゃ私、野宿になっちゃいますよぅ…。」 今度は涙目になり、今にも泣きそうな顔になる。 ていうか… 「大家さんに話して鍵開けてもらえばいいじゃないですか。」 「え!??あ…そっか…。」 僕の言葉で、彼女は我に返ったみたいだ。 「やだっ…!そんな事も思いつかないんて。」 彼女の顔が真っ赤に染まる。 「取り乱して凄く恥ずかしい…///」 そして彼女は、真っ赤な顔を手で覆うようにして隠した。可愛いな… じゃなくて!大家大家。 すぐに僕は大家の所へ行き、事情を説明して、部屋の鍵を開けてもらった。 「引っ越してそうそう本当にすみません…。 ありがとうございます!」 彼女は大家に何度も頭を下げた。 「誠治さんも本当にありがとうございます。」 「いやいや。僕は何もしてないし。」 「そんな事ないです~!すごく助かりましたよ!」 彼女は僕の手を両手で握った。 僕は彼女の何気ないその行動にドキッとした。 「あ!ちょっとここで待っててください!」 そういい残して彼女は自分の部屋へ入って行ってしまった。 僕は訳も分からずそこに立っていた。 少しすると、彼女が駆け足で戻ってきた。 「これ!昨日作り過ぎちゃって。 さっきのお礼によかったら食べて下さい♪」 「お口に合うかわかりませんが」と付けたし、僕にタッパーを渡した。 中を開けると、里芋の含め煮が入っていた。 …シブい 「ありがとうございます。本当に頂いちゃっていいんですか?」 「はい!こんな物でよければ!ではまた~♪」 彼女は自分の部屋へ戻った。
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