幸福

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「はぁ、はぁ、はぁ」  誰か来る? 「……っ」  雑木林に身を潜めた俺の目の前で誰かが足を滑らせる。人影は肩から倒れこんだ。暗闇で顔までは分からないが、仲間ではないことは確かだ。けど、様子がおかしい。 「おい、大丈夫か」 「ごめんなさい」  人影はそう呟くとまた立ち上がって走り去った。俺はどうにも気になってあいつに連絡をしようとした、ちょうどその時。 『作戦終了。‘赤’の者たちが一斉に下がっていく。深追いはするな。警戒は怠らずに、順次本部まで引き上げること』  作戦リーダーからの連絡が入った。やはり、今夜はいつもと空気が違う気がする。俺は急いであいつに連絡をとった。 「気になることがある。確証はないから詳しくは言えない」 『分かった。特別に自由行動を許可しよう。明朝までには戻るように』 「了解」  俺は人影が向かった方向へ走った。
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