幸福

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△▽△▽△▽△ 「姫さん、もういい加減諦めてくださいよ。王に怒られるのは俺たちなんですから」 「そうですよ。だいたいなんの不満があって逃げ出すんですか」 「……あなたたちが一斉に襲ってきても、私には勝てない」  狭い路地裏で私は囲まれていた。一本道、前に二人後ろに二人。潜んでいる気配なし。強行突破できないわけではない。でも、どうして暴力を振るわなくてはいけないだろう。 「確かに、俺らでは姫さんは倒せませんよ。もちろん本気で戦って、です。でもね姫さん、聡明なあなたなら分かっているでしょう。たとえここで逃げ切れたとしても、なんのつてもないあなたが表の世界で生活していけるわけがない。結局は王のもとで暮らすしかない。おとなしく、我らが高貴なる姫でいてくれればいいんですよ。そのうちに捕まるのなら、今俺らと一緒に帰ったほうが王の機嫌もいい」 「幹部として取り上げられ、更に王溺愛のお姫様であるあなたが、どうしてまたこんなこと」  そんなことを説明したって、どうせこの人たちには分からない。あんな人に従事してる人達に、何が分かるって言うの。  どうにかして、逃げなくては。ここで捕まったら、もう一生外には出られないかもしれない。何か、何か救いは。
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