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俺は確かに足音が去るのを確認すると、腕の中にいる少女を開放した。腕の中、と表現するにはいささか乱暴だったかもしれない、しかし今はこうするしかなかったのだ。
膝をついて荒い息を必死に整えようとする少女に手を差し伸べる。
「大丈夫か」
「ごめんなさい」
さっきもこうだったな。よっぽど深い罪悪感を抱いているのだろう。しかし、この少女が一体何をした?
「私は、悪い人なんです。だから捕まえてください。お願いします。すべてお話しますから」
力なく訴えてくる少女の肩は小さく震えていた。きっとものすごい恐怖にその小さな体で耐えてきたのだろう。
俺は震える肩をそっと抱き締めた。
「話は本部でゆっくり聞くよ。もう、追われることはない」
少女は静かに涙を流した。俺は少女が落ち着くまでその肩を抱きつづけた。それが少しでも少女の支えになればいい。
「歩けるか」
「はい」
少女が落ち着いたところで声をかけ、体を支えつつゆっくり立たせる。よく見ると、少女の服はぼろぼろだった。何があったかは分からないが、何かあったことは確かだ。俺は自分の上着を少女の肩に被せる。
「あの」
「いいから、そのままで」
俺は肩を支えながら青の騎士団本部まで少女を連れて行った。
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