幸福

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「今帰った」 「お帰り、無事でなにより。っと、その子は?」 「俺の気になることだよ。それより、あいつ……兄貴に会議室来るよう伝えといてくれ。俺は先に行ってる」 「はいはい、了解しましたっと」  少女を部屋まで案内してソファに座らせる。その横に俺も腰掛けた。少女は恐縮したように肩を縮めたままだ。  すぐに部屋の扉が開いて、青の騎士団の特徴である青ベースの制服の中でも、最も派手な制服を着た男が入ってくる。 「門衛から呆れたような声で連絡があったぞ。もう少し言い方を工夫したらどうだ、弟よ」 「うっせぇよ。俺はそんな話をしにお前を呼び出したわけじゃない」 「ま、そうだろうな。……で、その子が気になることか?」 「あぁ」  俺は最初に少女に会った時、つまりは雑木林に潜んでいた時のことから少女を確保するまでの経緯を説明した。 「なるほどね。で、この話に対して、君は何か意見ある?」 「ありません、その通りです」 「じゃあ、君は一体何者なのか、教えてもらえるかな」 「はい。私は‘赤’って呼ばれている暴力団グループの幹部っていうことに表向きではなっている者です。多分、見た目で分かったと思いますが、今まで青の騎士団さんとも何度か戦ってきました」  少女の見た目、それは赤いショートジャケットに黒いジーパン。そして赤と白のキャップ帽。  俺らが‘赤’の幹部と認識している四人のうち一人の格好に当てはまる。 「そうだね、私達が知っている人物にそっくりだ。しかし、いやはや、まさかね。そっくりなのに、私達の想像とは随分と違っていて驚いたよ。本当に、君がそうなんだね」 「はい」 「じゃあ聞くけど、君はどうして奴らと一緒にいるんだい。何か目的があるのか、それともほかのやつらと同じで、王のことを敬愛しているのかい」 「……どちらでもないです。私は、あそこにいることしかできなかったから、それ以外の道はなかったから」  少女は思いつめたように唇を噛み締めた。一体この子にどんな過去が。
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