第1章

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数ヶ月前からその家の建設が始まった。 家を囲うシートは、いかにその家が大きいのかを物語っている。 完成予定日の今日、僕はどんな家ができるのかを見るためにその家の前まで来ていた。 とは言っても自分の住むアパートはこの家の隣なので、自分の部屋から見えないこともないのだが。 二年間まともに外に出なかったせいか日差しが強く感じた。 人付き合いが苦手という理由で内職ばかりしていたせいだろう。 慣れない環境の中しばらく携帯をいじっていると、遂にそのシートが剥がされた。 ベールの下にあったのは意外にも洋風の木造建築だった。 シートが覆っていたのは三階の高さほどあったので、てっきり新しいアパートでも造っていると思っていた。 けれども入り口の数は勝手口を含めても二つしかなかったので、どうやらアパートではないらしい。 控え目に考えても十人は住める大きな家に圧倒されていると、荷物を沢山持った男性に声を掛けられた。
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