第1章

5/5
前へ
/5ページ
次へ
ドアの鍵をかけ、俺は軽くシャワーを浴びTシャツとトランクス姿になり、テーブルの上に弁当と缶ビールにツマミ、それにティッシュボックスを置き、テーブルの傍にゴミ箱を持ってくる。 太田さん一家を透視すると、晩御飯を食べ終えたらしい3人の女性が、テレビを見ながらくつろいでいた。 旦那さんは風呂に入っているようだが、男の裸を見てもつまらないので、女性3人の鑑賞を続ける。 「おーい、風呂空いたぞ。 浴室、結構広いから3人で入れるのじゃないのか?」 「お母さん、一緒に入ろうよ」 「たまには、女3人でお風呂も良いかも、入ろうよ、お母さん」 「そうね、3人で入りましょうか」 俺は視線を脱衣場に移し、3人の裸体を拝む態勢に入った。 「ゴクリ」 俺は唾を飲み込む。 3人の女性は「キャピキャピ」言いながらコンタクトレンズを外し、洗面台で顔を洗い服を脱ぐ。 「……………………」 3人が服を脱ぎ顔を洗うと、3人の姿が見えなくなり、3人が立っている場所の向こう側、浴室の扉しか見えない。 だが3人の声は聞こえる。 チクショー明日から引っ越し先を探さなくては。 幾ら俺が透視能力を持っていても、透明人間の身体を見る事は不可能だ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加