3人が本棚に入れています
本棚に追加
つらつらと考えているとなんとなく気が滅入ってきて、ふぅ、と小さく溜め息。
それと同時に右腕に柔らかな感触。
見れば、ユリさんが嬉しそうに抱き付いていて。
「今日はミコさんの好きなサバの味噌煮を作ったんです!一緒に食べましょ??」
…サバの味噌煮かぁ…。
ユリさんは、もの凄く料理上手である。
私は『ザ・男の料理』というようなものしか作れないので、余計美味しく感じるんだろうけど。
…彼女の料理の味を初めて知ったのは、ユリさんが隣室に引っ越してきて10日後くらいだった。
いきなり『あの、今日、肉じゃが作ったんですけど作りすぎちゃって…。よければいかがですか?』と言われれば、誰であろうと驚くだろう。
今時、お裾分け!
まぁ、驚きながらも断るのは失礼だろうと思い、ご相伴に預かったが…正直、本気で美味しいと心の底から思った。
それから何度かお裾分けをしてもらい。
もちろん、私もお返しをしたりして交流をしていると、彼女から夕飯を一緒に食べないかという誘いを貰い。
あれよあれよと言う間に、毎日の夕食はユリさんと一緒に食べる、という習慣を既に2ヶ月近く続けている。
だけど…。
何度も言うが、彼女は遊びたい盛りの大学生だ。
私みたいな『おばさん』に両足膝まで浸かっているような女と、毎日一緒にいるのも疲れるだろう。
私は話し上手ではないし、面白い話なんて出来ない。
ただユリさんが話すことに相槌を打ったり、コメントするだけ。
…なんにも面白くないと思うんだけど、ユリさんの態度は変わらない。
「さ!早く鞄置いて、くつろげる格好になりましょ!それでお夕飯食べましょうね?」
「…そうだね。用意してくれているし、今日もご馳走になるよ」
「はい!すぐに来てくださいね!鍵、開けておきますので!」
…そういうことは大きな声で言わないの!!
最初のコメントを投稿しよう!