『王子専属従者、マーツは憂う』"無自覚な行動"トマスのその後

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ただそれでも、まだ、いずれ私にもマーツと一緒になれるチャンスが来るかもしれないと、そう思ってしまう。 きっと君を大分困らせてしまっただろうな。 それでも今は辛くとも、君の王子への思いを応援したいと思う。 その気持ちも嘘ではない。 私のこの矛盾に白濁したこの気持ちはひとまず呑み込んでおくよ。 どうかマーツが幸せで居てくれるようにと、そう思うから。 私はルナール王子に恋をしていたマーツごと好きになったんだから。 仕方がない。 だから君の望むように、『優しい兄』として接するよ。 せめてこの性欲を直接君へは向けないようにしたい。 ただ純粋な愛だけを向けられるように。 己の辛さを抱える強さが欲しい。 性欲の排出物の他に出たものは、儚く淡い溜め息と、一粒の涙。 どうかそれだけで押し留められるように、その滑る拳を握ってみた。
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