12人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
身を整えて、気持ちは優れないながらも仕方なく警備の仕事に戻ると、警備兵の同期に声をかけられた。
彼とは少し親密な存在なのだけど、今はそっとしておいて欲しい。
私語が目立たないようにと、背中合わせにして立って話しかけてきた。
「なあ、最近溜まってるんじゃないか」
「別に、そんなことないよ」
「そうか? 俺は溜まってるんだよ。ほら、ここ最近忙しいだろ」
「そうだね」
大体こういった話の場合は後の予想がつきやすい。
「だからさ、後でヤらないか」
やっぱりか。相変わらずストレートだな。
大袈裟に溜め息をついて応える。
「君のそういう直球なところは好きだよ」
「そうだろっ、だからいいだろ?」
嫌味で言ったのに得意げだな。
嫌味が意味を成さない彼の性格は案外好きだけど。
「それとこれとは別だろ」
「そこをさ、何とか」
「いや……」
相変わらず軽いな。呆れてしまうというか。
それでも彼の軽さはある意味見習いたいと思っている。
彼の軽さに案外癒されてる面もあるので。
思い考えてしまうほうなので、そうしようにも空回りして正直落ち込むのだけど。
最初のコメントを投稿しよう!