『王子専属従者、マーツは憂う』"無自覚な行動"トマスのその後

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「気になる相手がいるとは確かに前から言ってたけど、あ、もしかして話に出てた王子のお気に入りって奴じゃねーの?」 「ああそうだよ。悪い?」 下世話な言い方に何故かカチンときた。私だって前まで言ってたのに、なんだろうな。しかし感は鋭いな。 「悪くはねーよ。ただそいつまだガキじゃんよ。それにあの歳で王子とできてたりすんじゃね? わざわざそんな相手の為に楽しみ減らしてどーすんだよ」 「そんな、まだまだマーツはピュアだよ。だから彼には手も出してないし、大事にしたい。私の気持ちが報われなくとも、せめて私も真摯にいたいんだ」 「なんか、お前、変わったな。俺らは別にアイラブユーの間柄じゃないんだし、気持ちいいスポーツみたいなもんだろ。俺、お前の身体好きだしさ、好きな人が出来たからってやめなくともいいじゃねーか? 俺、寂しくて泣いちゃうぞ」 うう、鬱陶しいなぁ。 「君は他にもセックスパートナーいるだろ?」 「そりゃ居るけどぉー」 拗ねてるな、これは。 「ごめん。俺もマーツの思いに真剣な態度で居たいんだ。今更かも知れないけど、報われなくても、今は他の相手と身体の関係を持つとかしたくないんだ。本当に悪い」
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