第1章

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なんという呆気なさだろうか それなら、すぐに依頼は達成する これほどに簡単な内容のものはないだろう 「ただ、その…場所が場所だけに、問題があってね…」 「なんだ?」 「3年前に突如、地震と共に現れ、地中からツルのように、今もこの街を覆っているあらゆる植物のことは君も当時、その瞬間を見ていたから知っているだろう?」 「ああ、忘れたくても忘れられねぇよ」 ギュッとスマホを持っていない手を強く握るヒロキ 脳裏に、3年前の出来事が映像のようにフラッシュバックする ツルが建物に絡みつき、木がコンクリートから生え、街を侵食する 人々の悲鳴 そして… そこで、思考をストップさせる 今はカズヤの話を聞くことが優先だ 「そうだよね…忘れる方が難しいか…詳しく向かう場所について説明すると、3年前に都市の中心部にある大木(たいぼく)の樹…そこまで彼女を連れていって欲しい」 「あんなバカでかい木の所にね…距離はあるが、行けないほどではないな…一体どこに問題があるんだ?」 大木の樹 高さは10メートルを越え、遠くから見ても際立っている 人によっては神様がいると信じて、信仰している者もいる 「それが、未だにあの木の1キロメートル以上、近づいた人が誰もいないんだ」 「は?」
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