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たまたまやった病院の検査でという、最悪の形で事実が露呈した日から、父さんは俺と目を合わせなくなった。俺もまた、正面から見つめることができない。
スーパーの店主で明るく朗らかだった母さんは、今じゃ家族にはぎこちない笑みを向けてくる。
従業員さん達にまで知られたわけじゃないだろうけど、店主とその夫が気まずく避け合うとなれば、微妙な雰囲気は伝播するものだ。
家庭だけどころか職場まで、逃げることも出来ずに互いに抱え込んで持て余している。
そんなぎすぎすした空気の中心に、俺という異物がいた。
いつの間にか足元に来たシロが、俺を見上げてニャァと鳴いた。
抱き上げて頬を寄せる。ちくちくと触るヒゲがくすぐったい。
──あの家に俺はいない方がいい。
けれどどこに、俺の居場所はあるんだろう。
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