4月26日 ほんとうの願い

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 秋山が裸体の青年を抱えて、川からあがってくる。 「ど、どうしたんだ?その人」  ようやく川岸に足をついた秋山は、肩で荒く息をしながら崩れるように座り込んだ。  腕に抱えた青年の呼吸や脈を確かめてほっと力を抜く。  青年は真っ白な顔で気を失ったままだが、大丈夫なようだ。  プラチナブロンドというのだろうか、銀髪の随分綺麗な男だ。  水を滴らせる彼の髪を見て、俺は慌ててジャケットを脱いで秋山に差し出した。 「ひょっとして、飛び降りでもあったのか。警察呼ぼうか」  秋山は俺のジャケットで青年をくるみながら首を振る。 「いらない。怪我もないみたいだし」  け、けど……。 「警察は呼んじゃダメ」  それまで呆然としていた真優ちゃんが、ハッと我に返ったようになって言った。  青年を抱えている秋山の傍に膝をつき、気を失ったままの白い顔にそっと触れる。 「真優ちゃん……」 「ブランはシロだよ」  顔を上げた真優ちゃんは、目を潤ませながら微笑んだ。 「シロもほんとは帰りたがってた。ごめんなさい、私がいけなかったの」  秋山は泣き笑いに顔を歪めた。青年を抱きしめて、噛み締めるように目をつぶる。  雨はいつの間にか上がっていた。  雲の切れ間から月が覗き、俺達を照らしていた。
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