一章

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 僕はがらりと扉を開ける。秋だというのに生徒会室は蒸し暑い。けして狭くないはずの部屋なのに視界が狭く感じるのは会長と庶務のせいだ。通称、全身筋肉と片腕筋肉。存在だけでも威圧感がある。 「会長、副会長います?」 「……」 「今眠ってますから静かにしたげてください」  無言で示された先には副会長、瀬尾野真昼がいた。庶務のいった通り机に突っ伏している。大方暇すぎて眠ってしまったのだろう。そのそばでは会計の魚住求理が右手を押さえながらパソコンをいじっている。震える腕を押さえ込みながら高速でタイピング。なんか、変に器用だなあ。僕は二人の間にあいている椅子を持ってきて座る。残っている書類は多くないから、真昼が眠っているうちに終わらせてしまおう。そのあとは抑政会にでも遊びにいこう。それか、あの双子とお茶でも楽しもう。  書類と暫し格闘していると真昼がぴくりと体を動かす。そのままゆっくりと体を起こすと眠たげな瞳でこちらを見た。 「おはよー。副理事長さん……」  いつもよりもいっそうのんびりとした声だ。もしかしたら長時間眠っていたのかもしれない。会長はいかにも脳筋ですって見た目のわりには仕事はしっかりしているし、副会長の仕事はかなり少なくおさえられてるのだ。今も会長筋トレしてるけど、あれは仕事終わりましたって合図みたいなものだ。会長は口よりも行動が雄弁だ。
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