多少の縁

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『一度だけすれ違ったことがある。少し小太りのおとなしそうな奴に見えたんだが』 『小太りで、おとなしそう……ですか?そいつのどこが?』 『いやあ、参ったよ。夜が凄いんだ!おかげで極度の寝不足だよ』 ビールのせいか口が滑らかになっていくのが自分でもわかった。 『夜が凄いんですか?』 『単身者向けのマンションだろ、夜になるといろんな声が……ん、いや、声というよりは音だな』 『仕事に支障が出ると困るから、一度話し合いたいんだが、いつ行ってもいない』 『なあ沼田、どう思う?せめて職業さえ分かれば、少しは気が楽なんだが』 『ちょっと変わった奴のようですね!』 沼田も興味を持ったみたいだ。 それから俺は隣の様子を簡単に説明した。
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