第1章

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「相変わらず夜も昼も静かだな」 山本は仕事を終え、家に帰ろうと道を歩いていた。時刻はすでに深夜を回っており、人は誰も歩いていない。音と言えば、街灯にぶつかる蛾の音ぐらいだった。 自分の家の前に着くと、山本は何か違和感を感じ、隣の家に顔を向ける。 目の前に広がる光景に、山本は、何が起きているのか全く分からなかった。 いや、はっきりと分かるのだが、頭が追い付かない。理解ができない。 「やあ。こんばんわ」 いつの間にか目の前にいたソレが、話しかけてきた。山本は驚きのあまり反応できない。 「あれ?通じていないのかな?おかしいな?」とソレは首を傾げた。 おかしいのはお前だよ、とつい山本は叫びそうになる。いやむしろ俺がおかしいのかもしれない。 「この家の人ですか?ワタシは隣に引っ越して来たものです」 「……いや墜落だろ?」 山本はやっとのことで言葉を出し、隣の家、に墜落しているUFOを指差した。 「いえ、引っ越しですよ」 全身が銀色のソレは、あくまでも引っ越しと言い張るらしい。 「……どうして引っ越して来たんだよ」 「途中でエネルギーがなくなってしまったんで」 やっぱり墜落じゃないか、と山本は溜息をつく。
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