23人が本棚に入れています
本棚に追加
オレは自分の部屋に戻る前にしょうこお姉さんの部屋のブレーカーを落とし、ガスの元栓を締めた。
こうすることで不要な火災を防げると聞いていたからだった。
「お姉さん、オレは一旦自分の部屋に行って必要なものを取ってきます。
それから一緒に非難しましょう。
お姉さんも必要なものを準備しておいてください」
お姉さんは壁の罅を眺めて黙っている。
「俺が戻るまでここに居てくださいね!」
オレは念を押して防災リュックを取りに行った。
自分の部屋に戻って、さっきと同じようにブレーカーを落としガスの元栓を締めて、リュックと貴重品と冷蔵庫の中の飲料を持って俺はしょうこお姉さんの部屋に戻ってきた。
お姉さんはまだ呆然としていた。
「ここはもうダメです。
避難場所に行きましょう」
オレがお姉さんに手を差し伸べて立たせながらそう言うと、お姉さんはようやく立ち上がった。
― ― ― ―
避難場所の公園に行くと、そこには既に何人か人が集まってきていた。
「ねぇ、ユウくん……」
それを見て安心したのか、ずっと黙っていたしょうこお姉さんが話しかけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!