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オレはまたアパートに戻っていた。
しょうこお姉さんはオレに忘れたものがあるから取りに戻りたいと言った。
だがオレが危険だと判断したため、オレが代わりに戻ってきた。
この建物だっていつまで形を保っていられるかわからないからだ。
頼まれたのは換えの衣服と化粧品類、それと余裕があれば印鑑や通帳などの貴重品も。
部屋に入って最初に目に入ったのは床に散乱したいろいろな物だった。
あれだけ丁寧に作りこまれたインテリアも自然の力の前ではこの有様だ。
割れた食器などで足を怪我するといけないので、気は進まないが土足で上がる。
落ちたアップルパイと割れた紅茶のポットを見たとき、幸せだった時間が甦る。
オレにはそれがもう二度と手の届かない遠い過去の幸せのように思えて、人知れず涙を流した。
一通り必要なものを見つけ出し袋に詰めたオレは、しょうこお姉さんに連絡を入れようとしたが電話は繋がらなかった。
そうだ、ネットはどうなんだ?
呟きサイトに繋いでみると普通に繋がった。
よかった……。
とりあえず自分が無事であることを書き込んで、他の呟きにも目を向ける。
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