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モールで何を買うか迷っているときに、オレはまた佐藤さんのことを思い出していた。
「つまらないものですが……」
佐藤さんがくれたのは子猫のぬいぐるみだった。
普通、粗品ってお菓子とか石鹸とかタオルとかだよな。
もしかして佐藤さんって天然?
あのふんわり系の見た目でさらに天然?!
あ^~佐藤さんかわいすぎるんじゃ^~。
オレは頭皮のことなど忘れて妄想に逃避した。
― ― ― ―
家に戻った俺は、すぐに買ったお礼の品を持って佐藤さんちの部屋の前まで行った。
ここはアパートだからとなりの家まで数歩で行ける。
ピンポーン
緊張しつつインターホンを押すと、奥からぱたぱたと足音が聞こえてきてドアが開いた。
「はい。あ~! こんにちは!」
「こんにちは、昨日のお礼です。こんなんで良ければどうぞ受け取ってください」
オレは買ってきたタオルハンカチのセットを渡した。
「わぁ、ありがとうございます!」
佐藤さんはそれを笑顔で受け取ると、せっかくなのでお茶していきませんか? とオレを誘った。
その瞬間、オレの中で何かが弾けて混ざって自由になった。
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