Fall out XXX

4/6
前へ
/20ページ
次へ
 モールで何を買うか迷っているときに、オレはまた佐藤さんのことを思い出していた。 「つまらないものですが……」  佐藤さんがくれたのは子猫のぬいぐるみだった。  普通、粗品ってお菓子とか石鹸とかタオルとかだよな。  もしかして佐藤さんって天然? あのふんわり系の見た目でさらに天然?! あ^~佐藤さんかわいすぎるんじゃ^~。  オレは頭皮のことなど忘れて妄想に逃避した。 ― ― ― ―  家に戻った俺は、すぐに買ったお礼の品を持って佐藤さんちの部屋の前まで行った。  ここはアパートだからとなりの家まで数歩で行ける。  ピンポーン  緊張しつつインターホンを押すと、奥からぱたぱたと足音が聞こえてきてドアが開いた。 「はい。あ~! こんにちは!」 「こんにちは、昨日のお礼です。こんなんで良ければどうぞ受け取ってください」  オレは買ってきたタオルハンカチのセットを渡した。 「わぁ、ありがとうございます!」  佐藤さんはそれを笑顔で受け取ると、せっかくなのでお茶していきませんか? とオレを誘った。  その瞬間、オレの中で何かが弾けて混ざって自由になった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加