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そして
その夜遅く――。
玄関のチャイムが鳴った。
渋面引っさげて
ベランダで煙草を吹かしていた俺より先に。
俺のベッドですっかり眠り呆けていた和樹が
来客を聞きつけた犬のように飛び起きた。
予感――というやつだろうか。
黒髪がふわり
舞うほどのスピードで。
「おいっ……そんな格好でっ……!」
俺の忠告などまるで聞かず。
和樹は半裸のまま
シャツを引きずって部屋を飛び出して行った。
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