episode168 壊れたハート①

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「何してた?待ちくたびれたぞ」 廊下へ飛び出し 螺旋階段の一番上から見下ろせば。 ちょうど玄関の扉を押し開けた征司が あちら側に立つ誰かさんにそう声をかけていた。 和樹は螺旋階段の途中。 ぶら下がるコウモリのような 中途半端な格好で。 固唾を飲んでその様を見守っている。 「さあ、早く入れよ」 それ以上 下りてゆくのが怖いのか――。 剥き出しの足が かすかに震えていた。
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