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「何してた?待ちくたびれたぞ」
廊下へ飛び出し
螺旋階段の一番上から見下ろせば。
ちょうど玄関の扉を押し開けた征司が
あちら側に立つ誰かさんにそう声をかけていた。
和樹は螺旋階段の途中。
ぶら下がるコウモリのような
中途半端な格好で。
固唾を飲んでその様を見守っている。
「さあ、早く入れよ」
それ以上
下りてゆくのが怖いのか――。
剥き出しの足が
かすかに震えていた。
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